もっとも環境対策が遅れている業界である印刷業界。
日本印刷産業連合会が中心となって推し進めてはいますが、なかなか末端の会社や設備が対応しきれていない。
印刷会社の環境問題としては
1-ヤレ紙の多さ。
2-湿し水の廃棄(下水へ直接廃棄)
3-インキ・溶剤からのVOC
4-残肉(インキの残り)
5-振動
6-騒音
7-コピー枚数がやたらと多い
8-営業車・配送トラックからの排気ガス・騒音・違法駐車
9-パウダー・紙粉等の粉じん
10-廃液
ざっと挙げただけで、これくらいがすぐに頭に上がります。
1-のヤレ紙の多さは、クライアントの予算にも直結し、無駄な印刷用紙の消費に繋がっています。ヤレ紙は基本リサイクルに回されますが、必要のない数量を印刷すると言う点では環境問題・コンプライアンス問題になります(最新の機械を使い、最小枚数で回している会社もある為、全部の印刷会社がこのような事を行っていると言うわけではありません)。
対策案
クライアント:適正な必要用紙枚数の洗い出し。可能であれば、オフ輪だけではなく、平台(枚葉)の残紙の管理も行う。
2-湿し水の下水道への直接廃棄は、都道府県の条例で決められた数値内であれば、直接廃棄しても構わない事になっていますが、湿し水には石油系溶剤や添加物が含まれている為、無害ではありません。湿し水循環装置等を使い、廃棄量を少なくしている会社もありますが、直接廃棄している会社が多くあります。
対策案
印刷会社:湿し水を法定内と言う事で下水に廃棄せず、廃棄物として処理を行う。水なし印刷機に更新する。
クライアント:湿し水の下水道廃棄を行っていない会社をサプライヤーとして選択する、エビデンスはマニフェストの提出を求める。
3-インキ・溶剤からのVOCは、どうしても発生してしまうものです。しかし、極力少なくするために、SOYINK(石油系溶剤含有率30%)、ノンVOCインキ(石油系溶剤含有率0%)を率先して使用している印刷会社もあります。これは社員(印刷オペレーター)の労働安全衛生上の取り組みからであり、周辺地域への配慮とは違うところから取り組みが始まりました。
印刷会社の中には、ウエス(印刷のブランケットやシリンダーを清掃する際に使用する布)から発生するVOCを限りなく「0」にする為に、ウエス廃棄ボックスを使用し始めた会社もありますが、そのままリサイクルや廃棄工場へ運ぶのではなく、印刷会社の構内で溶剤などにまみれたウエスを入れ替えている会社が多くあり、溜まった揮発性有機化合物を排気している場合もあります。
対策案
印刷会社:ノンVOCインキの標準化、ウエス廃棄ボックス(ボックスごと工場へ出庫されるタイプ)の設置。
クライアント:ノンVOCインキの採用、ウエス廃棄ボックスが設置している印刷会社をサプライヤーとして選択する。
4-残肉(インキの残り)は印刷の仕事で余ったインキです。パイピングが増えてきてはいますが、まだまだ缶やカートンで購入している場合が多く、残肉が発生します。これは産業廃棄物として焼却処理されています。この残肉にもクライアントはお金を出しています。
対策案
印刷会社:インキパイピング設備の設置、残肉の使い回し。
クライアント:パイピング設備のある印刷会社の選択。インキ使用量の報告を求める。
5-振動は、印刷機・製本機・加工機の振動です。振動対策をしている会社は、阪神淡路大震災の影響が大きかった兵庫県では、地震対策として振動対策がなされている印刷会社が多くありますが、他地域ではまだまだ振動対策はされていません(工業地帯は振動対策の必要はないかと思います)。
対策案
振動防止材の設置
6-騒音は、印刷機・製本機・加工機・現像機などから出る騒音です。工場出荷時は法令ぎりぎりの騒音設定になっていますが、実際に設置した場合の騒音は、測定されているケースは少なく、印刷工場や製本・加工工場の横を通るとすごい音を出している会社も多くあります。これも条例などで昼間は何デシベル、夜は何デシベル、また用途地域により基準が決められています。
対策案
音源に対する遮蔽板の取り付け、カバーの設置
7-コピー枚数がやたらと多い、これは営業が中心なのですが、やたらとコピーを消費します。
この原因には、責了紙・校了紙がクライアントから戻ってきますが、表裏見本・加工見本・体裁見本等を作る必要がある場合、校正紙の控えや責了紙・校了紙をコピーして作る事になります。
その為コピーが多くなります。
対策案
印刷会社の社内のシステムの見直し。コピーを取らなくてもいい方法を考える(営業の業務効率の向上に繋がる)。
8-営業車・配送トラックからの排気ガス・騒音・違法駐車は、排気ガス規制で改善され、自動車メーカーの取り組みにより改善されています。問題は、騒音・違法駐車です。無意味な空ぶかしや違法駐車は安全面でも問題になっています。
対策案
GPSの搭載。空ぶかしは、社員教育に頼るところが大きくなります。
9-パウダー・紙粉等の粉じんは、印刷会社へ見学に行くと白い粉があちこちについているのを見かけた事があると思います。それがパウダーです。パウダーは印刷物のブロッキングを無くすために必要なものですが、その粉は、空中に飛散している場合が多く、工場のあちこちで白い粉が目につく事が多くなります。パウダー自体の主成分は、でんぷんで作られている為、摂取しても健康被害は少ないとの事ですが、気管などに入った場合は異なります。
対策案
集塵機の設置、工場の密閉。
10-廃液、現像機などから出る廃液は、産業廃棄物として廃棄する事が決まっています。これは強アルカリの廃液が出る為です。しかしながら、廃棄物として処理せずに、下水道廃棄や違法廃棄が存在します。
対策案
印刷会社:産業廃棄物として処理。
クライアント:マニフェストの提出を求める。
この他にも、印刷業の環境への影響はありますが、主だったところはこんなところです。
抜本的な解決方法としては日印産連が進めているグリーンプリンティング認定工場の認定を印刷会社が受ける事です。完全ではありませんが、パフォーマンス認定として行っているので、最低基準は守られています。
また、クライアントはグリーンプリンティング認定工場を持っている印刷会社に依頼を行い、グリーンプリンティング認定製品として印刷物を作る事がお勧めです。
グリーンプリンティング認定製品については、後日。
東大阪在住。印刷系・通販系が得意です。半年で取得するPマーク導入支援、SNS・懸賞サイトを使った、ローコストSEO対策・コンバージョンアップ、会社を変えるISO9001、効果的なSPツール・プレミアムグッズ・景品等の解説をブログでおこなっています。 現在はお仕事の依頼を受け付けておりません。
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2010年3月7日日曜日
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